おもらしをした 子どものように、 看護長さんになされるがまま、 下着や入院着を取り換えてもらっているうちにようやく、 頭が落ち着いてきた。 破水・・・ 破水かあ、 と 嬉しくなる。
単純に、 ようやく出産という雰囲気になってきたのが 嬉しかった。 それから、 破水をしたら もう間もなく産まれるだろう、 産まれないにしても 破水をしてしまっているのだから 1両日中に出てこない場合はカイザーだろう、 どっちにしても もうスグだ、 と この時は思い、 それが 嬉しかった。
その後、徐々に陣痛が強くなる。 もう本を読む余裕はない。 時々様子を見に来てくれる助産師さんが 「いい具合に陣痛が来てますね」 と声をかけてくれるが、 自分ではよくわからない。 痛みと、その合間に ストンと落とされる感じ、 再び痛みに飲み込まれる感じ。 時々眼を開けて 時計を見ても、 時間は絶望的に進まない。
ようやく6時前になって ちーちゃんが診察に来た。 内診は陣痛を上回る激痛。 結果、子宮口はまだ固く、 1指半くらいの開きかな、 とのこと。 つまり、まだまだ産まれない、と言うことだ。 夜間は陣痛促進剤を止めるので、 この日の誘発はこれにて終了。 このまま陣痛がつけばいいんだけどね、 と 言われたが、 点滴を止めたら 陣痛もあっさり消退した。
痛みから解放されて、やれやれ、と 夕食をたいらげている頃、 同じ時刻に誘発を始めたお隣さんは 順調に陣痛がついた様子。 初めは呟くような声だったのが 徐々に大きくなり、 夜半には大絶叫になっていた。 そのまま夜通し絶叫が続き、 明け方になって分娩室へ移動。 ああもうすぐ産まれるね、よかったね、 と思いきや、 さらに絶叫は続き、 結局 彼女が出産したのは正午近くだった。 実に、20時間、絶叫し続けていたことになる。
カーテンのこちら側の私は もちろん眠れるハズもなく、そのまま夜が明けた。 絶叫を聞かされ続けて、 恐怖心がかなり増幅する。
誘発2日目は 朝6時より 経口の陣痛促進剤を服用。 夜の間に 少しは子宮口が開いたかと期待したのだが、 まったく変化なし。 9時より点滴開始。 名前は忘れたが 前日の薬剤より強いものであるとのこと。
ほどなくして 陣痛再開。 前日とは 比べ物にならない痛み。 ここからは 記憶もあいまいだ。 ただ、やたらに腹が立っていたのは 覚えている。
ダメ人間だな・・・
体力がもつように、何でもいいから 食べやすいものを食べて、 と 言われるのだが、 昼食は一口も食べられず。 陣痛と陣痛の合間に 眠る、 という話は 聞いたことがあったけど、 寝ている というより、 気絶しているんじゃないかと思う。 腰を万力のようなものでバリバリ割られている幻覚をみる。
夕方になり、再び内診。 「よかったねー、ようやく柔らかくなってきた。 5cmくらい」 ・・・ って おーい、 まだ5cm・・・・ 実直故に融通のきかない助産師 島田さん(仮名)が 「まだまだかかりますね」 と 追い打ち。 2日目の誘発も これにて終了。 点滴を止めても 痛みの余韻は続き、 ベッドから体を起こすまでに1時間。 ベッドから降りるまでに さらに1時間。 ヘロヘロになっているところに、 実直故に融通のきかない助産師 島田さん(仮名)に 淡々と 「よかったら シャワー浴びられますので、どうぞ」 と言われ、 泣きそうになる。
前夜 寝ていないこともあり、 さすがにうとうとし始めたら、 今度は体に違和感を覚えて目が覚めた。 ぼーっとしていて よくわからないのだが、 どうやら腰が痛い。 1日横になっていたんだし、さもありなん と 気にしていなかったのだが、 腰痛は徐々に増強して、 眠れなくなってしまった。 後になって気づいたのだが、 どうやら陣痛だった模様。 自分が柳の枯葉になって段ボール箱にギューギュー詰め込まれる、 という 訳のわからない妄想と闘っているうちに、 夜が明けてしまった。
気づけば 二晩 完徹。
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