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2009年6月28日 (日)

出産のこと 3

朝になり、ちーちゃんがやってきた。 子宮口は前夜と変わらず5cm。 早朝の迅速検査の結果、感染兆候はまだないとのこと。 しかし、「ではもう1日頑張りましょう」 と 言われても、 もう気力が限界だった。

「切って下さい」 というワタシに 困り顔のちーちゃん。 「もう頑張れない?」 「切って下さい」 というようなやり取りを2回したところで ちーちゃんがポケットからPHSを取り出し、 カイザーが決まった。

そこからは 嵐のように事態が進展する。

医師による手術の説明、同意書へのサイン、心電図検査、腹部レントゲン検査、麻酔科医による麻酔の説明、弾性ソックスの話、剃毛、 など、 考える間もなく手術の準備が進む。 検査や説明に訪れる 医師、技師、看護師さんなど、 誰もがとても優しく、 大勢の人の手を煩わすことになってしまった事が申し訳なくて仕方なかった。

予定通りの11時に、ベッドごと手術室へ移動。 麻酔が効き始めると 様々な体の痛みも感じられなくなり、 一気に楽になる。 下半身は見えないので、何が起きているのかは もうさっぱりわからない。 痛みがなくなったことと、 麻酔の奇妙な感覚が面白かったことで、 ちょっとハイになっていたのだが、 気づいたら枕もとの助産師さんがギュッと手を握ってくれていて、 その事で (そうか、これは大変なことなんだ) と 我に返る。

相変わらず下半身では 何が起きているのか分からない。 どうも ぎゅーぎゅー 押されているような気がするのだが、 どうなっているのだろう。 のんびりした気分で 頭の上側にいる麻酔科の先生と 「麻酔の効きが悪いことについて」 の 世間話をしていたら 突然。

赤ちゃんの泣き声。 不意打ちをくらって 涙がボロボロでた。 「元気な女の子ですよ」 と 誰かの声がする。

ああ。 生まれたよ。 生まれたよ。

赤ちゃんは ケアのためにどこかへ連れて行かれた様子。 誰も何も言わないので不安になり、 「赤ちゃんは?」 と聞いてみると 「大丈夫ですよ~」 と 誰かが答える。 スタッフがあわてている様子もないので、 大丈夫なのだろうけれど、 それにしても 大丈夫なのかな、 大丈夫なのかな、 と 動揺しているところへ、 赤ちゃんを連れてきてくれた。

ああ、あかちゃんだよ。

少しだけ顔に触れて、 それから 何か言わなければ、と言葉を探して、 口をついて出たのは 「ごめんね」 だった。

  
今になっても この時の選択に 忸怩たる思いを抱く。 あの時 他の選択ができたかと言えば、 結局できなかったような気がする。 それでも 誘発を断念してしまったことが とても恥ずかしい。 そもそも お腹の中に子どもがいるという実感がなく、 自分で産む、 という意識が欠落していた。 投げ出してしまったことを、 きっとこれから一生悔やむし、 その痛みは受け止めなければならない。

それはそれで センチメンタルで恥ずかしいな とも思うのだけど。 それでもね。 腹部に光る切開痕が 自分への戒めだ。

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